ご挨拶

雨のしずくを受けてアジサイがますます色鮮やかです。会員の皆さまにおかれましては日々の実践と研究に励まれていることと思います。さて、新しい役員や委員をお迎えして新体制がスタートしましたので、これからの3年間を見通しまして本学会の、そして近畿支部の課題について考えてみたいと思います。
 本学会にとって念願のイベントである第15回世界音楽療法大会が来年(7月3〜8日)に迫ってきました。これには近畿支部から400人の参加を求められていますが、研究発表や国際交流にチャレンジしていきたいと思います。そして、音楽療法士の国家資格化という悲願を実現させるバネにしたいと準備を進めています。
 国家資格化については社会的認知を広げる方策として音楽療法のEBM確立と音楽療法のデータベース構築を進めています。また、深刻な社会問題になっている認知症高齢者の介護問題に対して音楽を使って地域に居場所をつくる実践(地域プラン)によって社会的な認知を高める方針です。これには近畿支部内の17人のチームで会員アンケート票を作成して全国調査を実施し、会員による先行実践事例を集約しました。そして、今まで世田谷区でモデルづくりに取り組んできましたが、今年度は近畿支部内でも実験を行い、全国化をめざします。さらに、湯川れい子理事が中心になって進めている音楽療法を支援する会への入会を広げる活動も再度、力を入れて取り組むことになっています。できることは全てやるという方針で、会員の皆様の知恵と力を出し尽くしていただけるように、よろしくお願いします。
 近年、近畿学術大会で研究発表の応募者が少なくなってきた問題の改善方策について審議してきました。会員アンケート結果を見る限り、音楽療法実践が減少しているわけではないので、音楽療法士の生活が超多忙であり、研究発表への応募にまで手が回らないと推定されます。しかし、音楽療法士は音楽療法を臨床の科学として確立していく研究に参画することが求められているわけですが、それは自分のセッションを客観的に振り返るために必要な営みであり、対象者に真摯に向き合う音楽療法士の職業的な倫理に関わるものであり、学術団体の構成員に求められる自明の責務である点を我々の原点として再確認しておきたいと思います。
 もう一つ、ラーニングサポートセンター(LSC)についても触れておきます。これは、音楽療法の世界が縮小していることに危機感を持って音楽療法推進特別委員会が組織され、その事業の一つとして若手支援のLSC を構想し、関東、近畿、中国の3支部で2年計画の実験的取り組みを実施して全国化をめざしています。若手支援とは、音楽療法を志したのに音楽療法から離れざるをえなくなってしまう若い人々が多いという問題に対処するものです。昨年の第1 回講習会に引き続き、第2回講習会を開催することになりましたが、ベテランの音楽療法士と若手の出会いの場、若手同士の仲間づくりの場になることに配慮し、より良い音楽療法を実践できる力をつけることを目指します。
 では、最後のご奉公と考え、以上の諸課題に取り組みたいと考えていますので、会員各位のご協力をよろしくお願いします。